2017年10月28日、29日に第47回日本腎臓学会東部学術大会が横浜市で開催されました。
当科の萩原龍太先生の発表が優秀演題に選ばれました。
ポスター演題P-079
CMV感染に伴う寒冷凝集素症によりへモジデリン沈着を伴う急性尿細管障害を呈した一例
【症例】30歳代、男性
【現病歴】X年Y月上旬より37℃台の発熱、咳嗽、全身の筋肉痛が出現、Y月15日A診療所を受診し抗菌薬と鎮痛薬が処方された。その後も症状の改善なく、職場の冷凍倉庫内での仕事が頻回に続いた後からコカ・コーラ様の肉眼的血尿が出現。Y月26日B病院受診、腎機能障害(血清Cr2.9mg/dl)を指摘され、精査目的に当院紹介となった。入院時検査で尿蛋白3+(1.90g/gCr)、尿潜血3+(赤血球:1〜4/HPF)、尿中NAG:28.7U/L、尿中β2MG:40455μg/L、Hb 10.5g/dl、T-Bil 4.3mg/dl、D-Bil 0.9mg/dl、LDH 1567IU/L、BUN46mg/dl、Cr2.97mg/dl、ハプトグロビン3mg/dlと溶血性貧血、急性腎障害を認めた。直接・間接クームステスト陰性、CD55・CD59の欠損はなかった。寒冷凝集素が256倍と高値、CMVのIgM抗体が陽性であった。入院後の腎生検では、尿細管上皮細胞へのヘモジデリン沈着と軽度の間質性腎炎がみられた。以上よりCMV感染症による寒冷凝集素症及び急性尿細管障害と診断した。入院後は貧血増悪は認めず、補液と食事療法にて約2週間で腎機能は正常まで改善、肉眼的血尿の再燃なく経過した。
【結語】CMV感染に伴う寒冷凝集素症によりへモジデリン沈着を伴う急性尿細管障害を呈した一例を経験したので報告する。