当科は「臨床に役立つ研究」を行い「得られた成果を無駄にしない(学会・論文に発表する)」ことをモットーに、臨床研究から基礎研究まで多くの研究テーマを遂行しています。大学院生は、臨床科にありがちな「身分だけ学生、仕事は臨床医でOn-the-Job Trainingのみ」という状況を避け、研究に専念する時間を持って頂くだけではなく、選択分野に関しては授業・実習を含めた教育をしっかり行います。主な研究内容は以下です。
副腎皮質ホルモンの使用量を減らし、合併症の軽減と生命予後の改善を目標に、慎重かつ積極的に生物製剤を導入しています。製剤投与に関わる患者さんの負担軽減の為、当院では外来日帰り投与も可能です。
高齢者は腎機能が低下しており、末期腎不全に至る例も急増しています。腎代替療法にはリスク(血液透析における心負荷、腹膜透析における汎腹膜炎など)があり、高齢者では必ずしも生命予後を改善しない場合もある事が知られています。患者さんの生活の質まで考慮した、安全で適切な末期腎不全医療のあり方について検討しています。
当科では慢性腎臓病の評価にMRIを積極的に利用しています。無被曝で精度の高い画像を得ることが可能です。保険適応内の検査から、患者さんと担当医師に可能な限り多くの情報を還元出来る様、放射線科、医用生体工学科と共同研究を進めています。
CCN2は慢性腎臓病進行に関わる因子で、尿細管上皮細胞から分泌されて腎間質の線維化に関わります。CCN2の機能を詳細に分析して、腎臓の線維化に特に深くかかわる部分を見つけました。副作用が少なく効果的な慢性腎臓病治療薬の開発を目指しています。
高齢化社会にある本邦では、末期腎不全の原因として加齢性変化を基礎とする腎硬化症が増加しています。老化の分子メカニズムのひとつとされるNFkB経路に注目して、組織特異的に同経路を阻害する遺伝子改変動物を作成し、加齢による腎硬化症のメカニズムを検討しています。
- ヒトを対象にした研究調査や遺伝子改変動物の取り扱いについては、学内・院内の規則に則り、必要な手続きを経て、細心の注意を払って行っています。